「大工として手間を惜しまず」。その結果が良い家を生む。

私は、20歳の頃に大工の世界に入り、以来この道一筋に歩んできました。大工棟梁として職人の技が活かされた本物の家に暮らしていただけるように昔ながらの手法で、手間を惜しまない家作りを心掛けています。

最近の家造り事情は、プレカットが普及し、今は単純な接ぎ手加工で木を接ぎ、金物に頼っているものがほとんどです。でも地震に強くて長持ちさせる家造りには、古来から伝承される木組みの技がとても大切だと考えます。信用のおける伝統技を丁寧に施す積み重ねが私たちの誇りです。

 

造り手として妥協は必ず自分に返ってきます。すなわちお客様にご迷惑をかけるということ…。逆に、きちんとした仕事が出来れば、わずかなリフォームだけで200年もの長きにわたって安全に、そして快適に暮らすことのできる住宅を建てることも可能です。資源を守り地球環境保全にも役立ち、施主様も住まいづくりに必要となるコストを削減できるのです。

    

寸法の不揃いな木材を職人の勘と技で組み合わせ、設計図通りに建てていく、それこそが大工のあるべき姿だと私は思っています。そして、構造材は出来る限り自然乾燥させた木材を使うことにしています。木の産地も神奈川県産材を使えれば温度や湿度など地域の気候になじんでいて狂いが少ないのでいうことなしです。

 

今では人工乾燥された木材が主流になっていますが、それでは木材の油分が抜けてしまい、木の強度が弱まってしまいます。それに反して、自然乾燥させた木材には油分がきちんと残りますので、年月が経てば経つほど強度が増す性質が残ります。

 

手間を惜しまないこと、造り手として妥協をしないことは、材料選びから始めています。

そして木でできた家には、やはり木の建具・天井が似合います。室内ドア・引き戸・襖など建具屋さんにお願いする場合も私自身でデザインし製作するケースでも、基本は無垢材を使っての手作りとしています。

 

ベルホーム(鈴木工務店代表) 鈴木智彦